英語を最短でものにする

最短ルートとしての「英検」「受験参考書」のすすめ

英語力をつけるために必要なこと

英語力を向上させるために英検やTOEICを学習している人は多い。もちろん、そうすることで英語力の向上に繋がることは疑いようがない。しかし残念なことに、それが英語力の向上に向けた努力以上に「英検力」や「TOEIC力」の研鑽になってしまっている場合がある。

 

 確かに大学受験や就職・昇進試験等のため、「英語の勉強」そのものよりも「英語試験の勉強」が重要な向きもある。この場合、学習の目的は英語力を身に付けることよりも資格を取ることなのだから、その努力の方向性は100%正しい。

 

自分の経験でいえば大学受験ではとにかく大学に受かるのが目的なのであって別に英語力自体を伸ばしたいとは思わなかった(もちろん副産物的に英語力がつけばそれは当然ウェルカムなのだが)。

 

ここで問題となるのは冒頭に述べた通り、本当は英語力を身に付けたいにも関わらずその努力の方向性が「英語試験力」に終始してしまっているケースだ。「日本では小中高大と10数年間も英語を勉強しているのにも関わらず英語を話すことができない」という物言いはこれに関してよく聞く言説だ。

 

 という訳で使える英語力とは何かと考えることがあるが、これはひとえに「英語運用力」なのであった。では英語運用力はどんなもので構成されているのかと考えるに次のようなものではないかと感じている。

 

①単語

②文法(語法)

③前置詞に関する知識

④リスニング(連結、消音などの発音ルール)

⑤スピーキング(主に①+②+③)

 

個々の説明はいったん措くとして、この各項目がバランスよく繋がり合って英語運用力として効力を発揮する。(例えば英語の耳が非常に出来ていたとして、単語を知らなければ自分の言いたい事を何一つ言えず困ることになる)

 

そこで、英語運用力というゴールを最短で達成しようと思ったとき、げんざい普通に受け入れられている勉強の仕方が必ずしも最短距離ではなく、むしろそれ程効率が悪いとすら思われる場合さえ、ままあることに気づき驚くことがある。

 

 したがって、こと英語運用力の向上については決まった正解がないように思われ、個々人によって必要なトレーニングも異なってくるので、どうも扱いにくい概念なんである。自分の経験でいえば、仕事上の「必要に迫られた」ときにはじめて伸びた実感があった。

 

 すなわち、これって何て言えば良いの?から始まり、今の言い方ってどういう意味?何をどこまで相手に求められていて、それに対する返しは何て言えば適切だったの?それを言うために一番ぴったりくる単語は何?というモヤモヤに対して延々とシャドーボクシングしているときであった。

 

 つまり、①「日常生活で」②「英語でやり取りする必要があり」それによって③「今後の自分の生活の質が左右される」ため、④「やらなきゃいけない必要性を強く感じている」ことである。

 

 この①~④までの条件を、より臨場感を持って感じている人ほど英語力が伸びる人、といえそうである。

 

英文読解オススメ参考書一覧

英文読解の参考書で、実際に自分が使ってみた感想です。

大学受験の参考書が中心ですが、もちろん英検やTOEICの勉強の際にも有効です。

というより英語の参考書は、大学受験のものが最もクオリティが高いので、受験生でなくても使えます。

 

 

積極的に人に勧められる本

『リーディング教本』

 (難易度★★★★)(クセの強さ★★★★★)(終えた後の覚醒度★★★★★

 一言レビュー:参考書版「精神と時の部屋」。でも、一度身につければ一生の武器。

 

『英文読解の透視図』

 (難易度★★★★★)(解説の丁寧さ★★★★)(読解力到達度★★★★★

一言レビュー:これが出来れば解釈は卒業。難易度に反して解説にクセがなく、丁寧で分かりやすい。ただし、ある程度力のある人がさらに伸ばすための本。1冊目で選んじゃだめ。

 

『英文熟考』(上下)

 (難易度★★★)(解説の丁寧さ★★★)(コスパ★★★★)

一言レビュー:総合的にコスパが良いのがこれ。例文は一流だが解説が分かりづらい。無難に人に勧められる。

 

『吉ゆうそうの解テク105』

(難易度★★)(説明の丁寧さ★★★★★)(ダークホース感★★★★★

一言レビュー:隠れた名著。とにかく解説が分かりやすい。人によっては飛躍的に伸びる。

 

『ビジュアル英文読解』(上下)

(昭和度★★★★★)(レイアウトの見易さ★)(解説の切れ味★★★★)

一言レビュー:いぶし銀。古びた町中華に入ったら本物が出て来た感。ある程度実力がついたら一度はやってほしい。実力が揺るぎなく固まる。ただし、これを1冊目にする必要はない。

 

評判の割にはイマイチかも

『英文読解基本はここだ』

『ポレポレ英文読解』

 

 

 

【書評】大学受験のための英文熟考

大受験漫画『ドラゴン桜』や『ドラゴンイングリッシュ』で有名な

竹岡先生の英文解釈の参考書です。

ちなみに上下巻の全2冊構成となっています。

 

『基本はここだ』や『英文読解の透視図』など、ある程度評価の定まった

英文解釈の定番的参考書は何冊かあるんですが

人に勧めるためにどれか1冊選べと言われたら、自分はこの本を推します。

 

オススメな理由

①例文の質が滅茶苦茶良い

②例文の長さが適切

③例文中に難解な単語や覚える必要のない単語が少なく、そのまま例文を覚えるだけで、無駄なく読解力が上がる。

④見開き2ページ完結型で、非常に勉強しやすい。復習もしやすい。

 

残念なところ

①解説がまわりくどかったり、やや専門的すぎたり分かりづらい

②上下巻でのレベル差が激しい。(中巻があると丁度良いのかも)

 

到達点

・上巻のみ:日東駒専レベル

・下巻まで:早慶レベル

 

効率的な使い方

・上下巻合わせて140の例文を、指導者がいれば解説してもらい、理解して覚える。

・最終的に、その英文の訳が何故そのような訳になるのか、自分で説明が出来るようになれば完成

 

この本の特徴は、よく見つけて集めてきたなぁと思うほど、とにかく例文の質が良いです。

上下巻合わせて140例文の中に、英文読解に必要な要素がほぼ全て網羅されています。

したがって、学習者はこの140例文をしっかり理解すれば、後はだいたいの英文は単語を入れ替えただけという状態にまで持っていけます。

要するにコスパの点では最強クラスだと思います。

 

ただし、ここが重大な短所なのですが、解説が分かりづらいです。

見開き2ページ完結型なのでどうしても丁寧な解説が出来ないのは仕方ないですが

もし自分がこの参考書だけで学習を進めていたら、自分の頭の悪さにイライラさせられるだろうなと思います。

 

ただし、その短所を補って余りあるほど、(繰り返しになりますが)例文の質が良いです。

 

この140例文をもう少し初学書でもとっつきやすい補助輪のような解説があれば、日本人の英文読解力ってもっと簡単に底上げできるだろうなと考えて、このブログでは本書の解説を少しずつアップしています。少しでも参考になれば嬉しいです。 

英検前日にするべき対策

今週の日曜は延期になった第1回英検がありますね。

皆さん直前期はどう対策していますか?

 

試験前はあまり新しい知識を入れるというよりも

今持っている知識をいかに得点化できるか、というトレーニングを

行う方が良いです。

 

知識があっても、それが本番の緊張感の中で得点に結びつくとは限りませんよね。

そこを訓練するんです。

 

具体的には

過去問題を本番通りの時間で通しでやることです。

出来れば何度もやった方がいいです。

 

この事によって

 

・各設問への時間の掛け方を肌感覚で体験する

・通し稽古をする事によって、単純に英検というものに慣れる

・自分がどこでつまづきやすいかを体感する

 

などが主な効果になります。

結局のところ、英検も試験なので純粋な「英語力」というよりは

「英検力」というか、試験慣れみたいな部分が少なくないんですね。

 

そこを鍛えるためにも直前期は過去問を繰り返し解くことをオススメします。

【解説】英文熟考12

For the first time in history, advances in science and technology have brought within reach what was once only a dream for handreads of millions of people.

(歴史上初めて、科学技術の進歩が、かつては何億人もの人々にとって夢にすぎなかった物事を手の届く範囲にもたらした)

 

【読み方】

①whatはカタマリを作って「〜なもの、こと」

[what was once only a dream] 「かつては夢でしかなかったこと」

 

②否定的なニュアンスのonly 「〜でしかない」「〜にすぎない」

 only は否定的なニュアンスを持ちます。

 

③advances in 〜 「〜における進歩」=「〜の進歩」

 読解では特につまずきませんが、スピーキングやライティングで大活躍する言い回しです。

 advances in science and technology

(科学技術における進歩)

 

④修飾要素の「割り込み」

brought (within reach) what was once only a dream

within reach「手の届く所に」

「かつては夢だったものを(手の届くところに)もたらした」

 

【あえて直訳】

歴史上はじめて、科学や技術における進歩が手の届く範囲にもたらした。かつては夢に過ぎなかったことを。何億人もの人々にとって。

 

英語なんていつまでも「勉強」している暇はない

いくら英語が重要だからといって

いつまでも「勉強」を続けるのは得策ではないと考えます。

 

今や英語は「産業」ですよね、間違いなく。

本屋に行けば一生かけても読みきれない数の参考書があり、

TVでは「今日の英語表現」的なコンテンツが毎日放送されていたり。

 

こういう「教材」を長年コツコツとやり続けた延長線上に「英語ができる自分」、すなわちネイティブとビジネスで議論したり、プライベートな付き合いで世界が広がったりする世界があるのだろうか。

誰もがそこに不安をもちながら、今日も英語を「勉強」している。

 

でも、英語ができるために

いずれは「英語産業の得意客」をやめなければならない。

 

英語力がある一定度に達すると、独学で英語の勉強ができるようになってくる。

「勉強」するよりも、生の英語に触れる方が成長が早くなる。

「英語を生活に取り込める」と言ったほうが良いだろうか。

英語学習にはそういう臨界点が確かに、ある。

 

そうなればしめたもの。

あとは洋書を読むなりTVや映画を観たり、

あるいはネイティブと付き合いを重ねたり

「英語を生活に取り込む」うちに自然と英語力は伸びていく。

 

同時に、矛盾するようですが、一般的な日本人が英語を「最短でものにする」ためには

まずは英語を「勉強」する事が、実はダントツで効率が良い。

 

この英語力の「ある一定度」に関して、英語産業ではこれまで議論がされてこなかった。

 

理由はシンプルで、学習者にとって誰もがわかりやすいゴールが証明されてしまったら「産業」としての旨味がなくなってしまう。

 

だから結果、僕たち学習者は闇雲に、あるいは漫然とTOEICの勉強をしてみたり、

「英会話まいにちの一言」のような英語教材の得意客になったりして、

気づけば「英語難民」になっている。

 

英語の「勉強」が、どこまで出来ればよいのか。

どこをゴールとして目指せばよいのか。

そして、どう「勉強」するのが効率的なのか。

 

この問いの答えに、僕はずっと関心がありました。(今もあります)

 

 

しかし、当然最短ルートは確かに、ある。

そして日本人にとって「ある一定度」とはどこなのか。

 

 

英検準一級

 

 

個人的な経験値からいえば、これが答えです。

 

 

日本人が英語の「勉強」から解放され、英語を「実生活に取り込む」ための最短ルートとしてまずは、やはり「勉強」をする必要がある。

 

それも「効率の良い正しいやり方」で「ある一定度」まで。

 

そして

①「効率の良いやり方」

②「ある程度まで」

の精度を極限まで解明し、よりシンプルなパッケージで英語学習者に提供すること。

そうする事で成長スピードが最大化される。

 

これが僕の関心の中心です。

そして色々と試行錯誤しながら、おぼろげながら分かってきたこと。

 

英語学習の最短ルート

 

・大学受験の「単語帳」「英文読解の参考書」を使い

・英検準一級を目指す

・その後、英語を「生活に取り込む」ことで学習を自動化する

 

このブログでは、主にこのことについて考えたことをまとめていこうと思います。

 

 

【解説】英文熟考11

 Jimmy sometimes makes me angry. The thing that annoys me is not 

what he says but the way he says it.

「ジミーには腹が立つことがある。僕を怒らせるのは、あいつの言う事ではなくて、その言い方だ」

 

【読み方】

①what はカタマリを作って「〜なもの、こと」と訳す

what he says 「彼が言うこと」

 

② the way S V 「SVのやり方、方法」

the way he says it 「彼の言い方」

 

【あえて直訳】

ジミーは時々、私を怒らせる。私をイライラさせるのは、彼が言う事ではなく、彼の言い方だ